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Vol.5 溶連菌感染症について

最終更新日:2011年1月5日

溶連菌感染症について 溶連菌感染症は、A群β溶血性レンサ球菌(溶連菌)という細菌による感染症で、子どもの細菌感染症の代表的な病気です。溶連菌感染症の中では、溶連菌による咽頭炎・扁桃炎、猩紅熱がよくみられる病気です。また、とびひ(伝染性膿痂疹)や蜂巣炎のような化膿性皮膚感染症を引きおこしたり、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎のような重症細菌感染症の原因にもなります。

 今回は、保育園児、幼稚園児、学童でよくみられる溶連菌による咽頭炎・扁桃炎、猩紅熱についてお話しします。

 溶連菌がのどに感染すると、溶連菌性咽頭炎・扁桃炎をおこします(写真1)。症状は、発熱と咽頭痛(のどの痛み)です。通常は咳や鼻水を伴わないので、この点が普通のかぜと違います。溶連菌性咽頭炎・扁桃炎に加えて、溶連菌が出す発赤毒素により皮膚に赤く細かい発疹がでると猩紅熱といいます(写真2)。猩紅熱は以前に伝染病として特別な扱いをうけたので、恐い感染症という印象をもたれるかも知れませんが、発疹があるかないかで区別するだけで、同じ溶連菌による感染症で、現在では溶連菌感染症の一つとして特別な扱いはされていません。発熱は微熱のこともあります。発疹だけでのどの痛みがないこともあります。発熱してから1~2日たって発疹がでると、薬疹と間違えられることがあるので注意してください。3、4日して舌が赤くイチゴのようになる(イチゴ舌、写真3)のも溶連菌感染症の特徴です。 

写真1
【写真1】
写真2
【写真2】
写真3
【写真3】

 

Q溶連菌感染症は子どもの病気ですか?

A学童期の子どもに最も多い感染症ですが、大人にも感染を起こします。

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Q溶連菌はどのように感染するのですか?

A溶連菌性咽頭炎・扁桃炎の患者さんとの接触から通常感染します。飛沫感染によりヒトからヒトへと感染する経路のほかに、皮膚への接触感染や、食品などを介して経口感染(食中毒)することもあります。

感染する力は急性期にもっとも強く、その後徐々に弱くなります。急性期の感染率は兄弟間で最も高く、感染率が25%あるという報告もあります。

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Q潜伏期間はどれくらいですか?

A2~5日間とされています。

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Q溶連菌感染症の発症が多い季節はいつですか?

A全国調査によれば秋に少なくなる傾向がありますが、発症は1年中あります。

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Q溶連菌感染症の診断は?

A溶連菌性咽頭炎・扁桃炎、猩紅熱は、発熱や咽頭痛、発疹などの症状経過、のどや舌の所見、発疹の性状から典型的な場合は診察だけで診断します。疑わしい場合は、のどや扁桃腺の表面を綿棒でぬぐって細菌培養検査(咽頭培養)をするか、溶連菌抗原迅速検査をします。溶連菌抗原迅速検査は15分くらいで結果がわかり、診察室で簡単にできるので、現在では溶連菌抗原迅速検査を使って診断することが多くなっています。咽頭培養か迅速検査により溶連菌が陽性であれば、症状と合わせて、溶連菌感染と診断します。

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Q溶連菌感染症の医学的な1番の問題点は?

A溶連菌感染症にかかると、急性リウマチ熱(心臓、関節などに症状がでる)や急性腎炎(赤い血尿がでる、顔がむくむ)のような合併症を起こすことがあります。特に医学的に大きな問題は、急性リウマチ熱を発症すると心臓弁膜症のような心臓の病気を一生残すことです。これらの合併症を防ぐことが溶連菌感染症の治療で重要なことになります。

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Q溶連菌感染症の治療は?

A溶連菌に効果のあるペニシリン系かセフェム系の抗菌薬を10日間内服します。内服を開始すると通常1日か2日で解熱します。抗菌薬治療は、急性リウマチ熱の合併症を防止することが最大の目的です。途中で内服を中止すると、溶連菌感染症が再発したり、合併症をおこすことになるので、解熱し元気になっても、最後まで忘れずに抗菌薬を内服させましょう。

抗菌薬治療のほかには、高熱が出た時に解熱薬(坐薬、頓服)を使用します。猩紅熱で発疹をかゆがる時には、かゆみ止めに内服薬や軟膏を使用する場合もあります。

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Q抗菌薬治療中に再診した方がよい場合は?

A抗菌薬を嫌がって内服ができない場合、抗菌薬を内服しているのに2日以上たっても熱が下がらない場合、のどの痛みが強くて飲み食いできない場合は、治療中の医療機関に再診しましょう。

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Q登園や登校はどうするのですか?

A抗菌薬の内服を丸1日以上できていれば、周囲へ感染をおこさなくなるので、内服開始後1日以上たっていて、解熱していれば、登園・登校できます。

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Q治療後に溶連菌が消えたかどうか検査をするのですか?

A治療が終わってからの細菌検査はしません。溶連菌感染症を疑わせるような症状を再発した場合には検査をします。

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Q治療後に尿検査を受けた方がよいのですか?

A急性腎炎の合併の有無を調べるために尿検査が必要かどうかについて、医師の間で意見がわかれています。医師の指示とおりに内服ができたかどうかを確認するついでに尿検査も合わせて行う目的で、治療終了後に再診を勧めることもあります。再診の指示がある場合には、必ず再診して尿検査を受けましょう。

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Q兄弟がいる場合に、発症を予防するために抗菌薬を内服するのですか?

A同居する兄弟は、溶連菌感染症の症状がない限り、溶連菌の検査や予防的な抗菌薬内服をしません。兄弟が発熱した場合や咽頭痛を訴える場合には受診しましょう。

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Q検査をすると何度か溶連菌が陽性になりました。どうしてですか?

A2つの場合があります。溶連菌は1種類だけでないので、何種類も仲間がいます。タイプの違う溶連菌により何回か感染を起こす場合が1つあります。もう1つは、溶連菌の健康保菌者である場合です。保菌者はのどに溶連菌をもっていても発症しないので心配ありません。

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Q溶連菌感染症は予防できますか?

A残念ながら溶連菌のワクチンはありません。一般的な感染症の予防法と同じですが、手によって溶連菌を自分の口や鼻に運ぶことを避けるために、よく手を洗うことが大切です。家庭内に患者さんがでたら、手洗いを徹底し、うがいもしましょう。

 

文責:福井県済生会病院小児科 加藤英治

お問合せ先

福井市 福祉部 子育て支援課
電話番号:0776-20-5270/FAX番号:0776-20-5490
最終更新日:2011年1月5日

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