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Vol.53 傷寒論について(その4・太陽病パート3)

最終更新日:2015年7月3日

 太陽病上篇(上中下の篇があります)の最後のほうに、本来桂枝湯(ケイシトウ)の証でないものに投与した場合の対処法が記載されていますが、有名な芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)がここに出てきます。いわゆるこむら返りに頻用される処方で、葛根湯と同じくらい有名かと思います。

 芍薬甘草湯は筋肉の引きつれを治す効果があり、脚のこむら返りだけでなく、上肢の筋肉や腹部の筋肉のつっぱりも治すことができるとされます。芍薬と甘草を同量含むだけの簡単な処方ですが、この組み合わせを構成に含む処方は多数あります。これまでのコラムで複数回登場した、小建中湯(ショウケンチュウトウ)、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)などはその代表で、これらを処方するひとつの目安として、腹部の筋肉の緊張があります。腹直筋が縦にぴーんと緊張した状態ですが、芍薬プラス甘草の成分がこの緊張をほぐすことで、他の生薬の効果と合わさって諸症状に効果をもたらすというわけです。

 太陽病中篇のトップにでてくる処方は葛根湯です。葛根湯についてはコラム43、44で詳しく述べていますので省略します。また、コラム8で触れた、インフルエンザに対する処方で有名な麻黄湯(マオウトウ)、花粉症のときに使用されて有名な小青竜湯(ショウセイリュウトウ)もここにでてきます(コラム9参照)。コラム9でも名前を挙げている麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ、傷寒論では麻黄杏仁甘草石膏湯と記載)も登場しますが、桂枝湯などで治療し、発汗し体表の熱は取れたけれども、ぜんそくのようなゼーゼーする咳の症状が残存するときに用いなさい、とあります。それで医療保険での適応症が小児ぜんそくや気管支ぜんそくとなっているのです。

 さて、茯苓桂枝甘草大棗湯(ブクリョウケイシカンゾウタイソウトウ)という処方のところに、奔豚(ホントン)という症状名がでてきます。豚が奔走する、という字ですが、これはなんでしょうか。へそあたりのおなか、または胸のあたりから動悸(どうき)のような感覚が上へ向かって突き上げてくる症状であり、豚が駆け抜けるような様子に似ていることから、奔豚気、奔豚病とも言います。具体的には下腹部あたりから胸やのどのほうに向けて、疼痛、詰まる感じ(胸悶(きょうもん))、めまい、もだえ苦しむようなじっとしていられない感覚(煩躁(はんそう))、不安感などが急に起こってきて、発作がやむと全く普段と変わりない状態に戻るような症状を指します。死ぬかと思うような発作なのに、治まれば大丈夫、という感じであり、これは現代のパニック発作とそっくりです。茯苓桂枝甘草大棗湯、略して苓桂甘棗湯(リョウケイカンソウトウ)桂枝加桂湯(ケイシカケイトウ)奔豚湯(ホントントウ)などといった処方がこの治療に使われます。いずれも医療用エキス製剤はありませんが、煎じ薬として処方することは可能です。
 

 《参考資料》 
臨床応用傷寒論解説(大塚敬節・創元社)

 

【文責】 三重大学附属病院漢方外来担当医・小児科専門医・医学博士 高村光幸
 

お問合せ先

福井市 福祉部 子育て支援課
電話番号:0776-20-5270/FAX番号:0776-20-5490
最終更新日:2015年7月3日

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